ぼくも髙石あかりさんと二人きりで黒ひげ危機一発したい

2021
  • ベイビーわるきゅーれ 阪元裕吾監督 66

若い頃、ヴィム・ヴェンダースの映画をはじめて見たとき、その静かな長まわしの詩情に衝撃を受けた、ジム・ジャームッシュの映画をはじめて見たとき、こんな他愛もない会話を撮って、どうしてこんなに美しい絵になるのだろうと衝撃を受けた。阪元監督は、そういうストリート系(?)の映画の影響をかなり受けておられると拝察するが、冗長な他愛もない日常会話を低めのカメラの固定ショットで、長まわしで描く趣向がおもしろい。おおがかりな現実を撮るのではなく、他愛もない会話のシーンに執拗にフォーカスすることで、かえって現実の世相を描くことに成功している。本宮泰風さんが頭のネジが2つ、3つ足りないヤクザの役柄、真顔でおかしなことを言ったり、とつぜんブチ切れたり、かなりおもしろい。主演の「わるきゅーれ」コンビの髙石あかりさんと伊澤彩織さん、うんざりしたような表情、かわいい表情、たいへん魅力的でした。伊澤彩織さんがバイトにうまく溶け込むことができずに、ルー・リードのシャツを着て夜の路を歩くシーン、ぼくにも憶えがある感情があらわれていて非常によかったです。メイドカフェで媚びる髙石あかりさんも非常によかった、ぼくも髙石あかりさんと二人きりで黒ひげ危機一発したいです。

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