Saving Private Ryan

1998

スピルバーグ監督はもともと戦争映画を撮ることが夢だったそうで、本作は監督の往年の夢の結実とも云える作品です。私は二度目の鑑賞ですが、とても壮大な作品に仕上がっています。
シリアスなテーマを扱いながらも、ときおり少しのユーモアを感じさせるシーンが、映画のリズムになっています。私が好きなシーンは、独語と仏語に堪能な兵士が、頭はすごく好いのにどこか抜けているというか、ちょっとポンコツな性格をしていて、上官に「(戦場に)タイプライターは持っていきますか?」と確認するシーンです。もちろん持っていけるわけがないのですが、頭は良いのに一種の現実感覚がどこか欠如していて真顔でそう尋ねているところが面白いところです。
主演はトム・ハンクスで、堂々としながらも指が震えてしまう繊細で大胆な一兵卒の上官を好演。
また、若き「プライベート・ライアン」をマット・ディモンが好演しており、酸いも甘いも嚙み分けたveteranのトム・ハンクスと違って、どこか一本調子で表裏のない若い気質を爽やかに醸し出しています。
撮影はJanusz Kamińskiで、彼はスピルバーグ監督と組んで多くの作品を撮られていますが、コントラストを抑えながら、緑や建造物のvividな影にひとつひとつ表情がある素晴らしい映像でした。
非常に残酷な冒頭の上陸シーンは史実に拠っており、スピルバーグ監督が全身全霊を籠めた息も止まるような演出で、過去に私が観た戦争映画の中でも、群を抜いて陰惨だったと思います。

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