北野武監督『首』の感想(ネタバレなし)

2023

北野武監督の『首』を拝見しました。清順の『ツィゴイネルワイゼン』を彷彿とさせる生々しい蟹の度肝を抜くシーンから始まり悠々とした、余裕たっぷりな演出で、概ね史実に根差した乱世のドラマが細かく紡がれてゆき、北野監督の円熟味を堪能しました。2時間ちょっとの尺に纏めるのはとても難しかったのではないかと思われるほど、一人一人の魑魅魍魎の怨念、思惑、性格が入り乱れての群像劇、北野監督らしい間の抜けた、ちょっと調子を外すようなシーンを織り交ぜながら、それぞれの立場での孤独や疲弊、そうして避けがたく逃げ場を失って、あとに引けない暴発への熱を滾らせてゆく思いを、色濃く描いた立派な作品でした。北野武監督は、個人的には、いつも私の中で1番の鈴木清順監督、そうして2番の溝口健二監督に次いで、私が3番目に大好きな日本人の監督です。年末ちょっとバタバタしていてギリギリになったけど、大好きな北野監督の新作を映画館で堪能できてよかった。あと何本、北野監督の新作を見られるだろうか。。。クリント・イーストウッド監督や、マノエル・ド・オリヴェイラ監督みたいに、あと25年くらい、ずっとお元気で素晴らしい作品を撮り続けていただきたいと、切に願っています。

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