John Wick / Chad Stahelski

2014

今回は2014年の”ジョン・ウィック“という映画を鑑賞しました。小生の鑑賞は2回目で、かなり好きな映画です。1、2と既に拝見していて、このたび3を観ようと思ったのだが、馬に乗っているキアヌ・リーヴスのキャッチ画像を見て、これはどう転んでも死ぬほど面白いに違いないと確信し、すぐに観るのを準備不足に感じ、その前に以前の復讐について、復習しておく気分になりました。
アクション映画の有名作”SPEED“や、近未来SF映画の有名作”マトリックス“の名演で有名なKeanu Reevesが主演と制作総指揮を兼ねているマフィア映画で、キアヌは、この人にしかこんな演技は出来ないと確信させる名演を魅せています。監督はChad Stahelskiで、テンポの良い、軽みのある、しなやかな演出が好ましかったです。シリアスなシーンに時々笑えるセリフがあって、そういう遊び心を悠々と織り交ぜながら、優雅に脚本を紡ぐ呼吸が、いかにもハリウッドっぽくて非常によかったです。
撮影監督はJonathan Selaで、ダーク・ブルーのトーンを基調とし、色味を抑えた渋い演出が、Keanu Reevesの素晴らしい演技の凄みを際立たせていました。
SPEEDやマトリックスのアクションも素晴らしかったけれど、本作のアクションは、もっとオールド・スクール風というか、画像を少し荒くすれば、70年代や80年代のアクション映画と云われても違和感がないような正統的な雰囲気を醸し出しています。
誰もが漠然と、古い映画を観るときに思い出す安心感というか、余計な装飾を排したある種の伝統の地の部分を、本作はとても丁寧に踏襲しているような気がします。
ロシアン・マフィアの、自らの超越的な立場を誇張するような、いかにも嫌味ったらしい、見せかけの色味を抑えながらも、柄の主張の強さが厭らしい悪趣味なファッションとか、ピアノの上に無造作に置かれる拳銃とか、なんかそういうのひとつひとつが実に好ましいななんて、しみじみと思ってしまいます。
本作は、デ・パルマの”スカー・フェイス”とか、スコセッシの”ゴッドファーザー”とか、オーソン・ウェルズの”黒い罠”とか、タランティーノの”レザボア・ドッグス”とか、北野武監督の”ソナチネ”とか、佐伯監督の”昭和残侠伝”とか、清順の刺青一代とか、前世紀の映画の歴史のなかに、忘れがたいキラメキを放っているマフィア映画/ヤクザ映画の名作群と比較しても、決して遜色のない名品になっていると思います。

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