天空の城ラピュタ 宮崎駿監督

1986

横浜に薄く雪の降り頻る二月の寒い日に、『天空の城ラピュタ』という映画を拝見しました。機械や植物や小動物、小鳥など、人間と違う時間軸を持ったものへの視点がとても印象的な作品でした。飛行石とかラピュタとかいう、伝説的な、空想的なものが次々に出てきて、蟲のような飛空挺も御伽噺風であり、世界観も何処か中世ファンタジー風であり、王位の継承の話や、差し迫る盗賊など、何処か歴史上の物語を読んでいるようで、登場人物の顔つきは東洋人ですが、石造りや木造りの街並みや、パンや肉やスープが中心の食事など、そういうところで無国籍風というか、土着的な、日本的な眼差しを排する姿勢はしっかりと見せながら、前述した同時に同じ世界に在るものへのあわれという感情を常に前面に押し出しており、そうしたところでは極めて日本的な感性を存分に塗り付けており、そういうところで自らの出自とのstruggleを、妥協せずに絶え間なく繰り返すような真摯な筆致が心に響きました。小生は今回、二回目の鑑賞ですが、またいずれ観たくなるだろうなと思うような立派な作品でした。

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