みなさんこんにちは。先日、三池崇史監督の「The Guys from Paradise 」を拝見しました。小生は三池監督の趣味の好い、姿勢の好い映画が大好きで、とりわけ同監督の「Dead or Alive (1999 film)」は最高に好きなのですが、本作も負けず劣らずの傑作で、大好きな作品です。大塚寧々さんが非常にきれいで、陰のあるミステリアスな女性を演じられていて、この映画を観終えたあとで、小生はダッシュで古本屋に行って、大塚寧々さんの当時の写真集を探しました。残念ながら見つからなかったので、また探しにいきます。Kenichi Endōさんも、かなり気合の入ったぶっ飛んだ演技で、こんな頭のねじが外れたような演技が似合う方だとは思っていなかったので、そうした意外性も、三池監督のおおらかで懐の深い作風のなかで生きる好演なのだろうと思いながら、血まみれの割烹着でわけのわからない歌を謳ってオンボロ車を運転している遠藤さんのとびぬけた奇矯ぶりを堪能しました。そうしてKōji Kikkawaさんの抑えの効いた役回りも見事のひとことで、この二人の個性的な俳優を、こんなに上手く、事も無げに捌くことができる背景には、やはり三池監督の天性のバランス感覚の鋭さが際立っていると思います。映画「スケアクロウ」でジーン・ハックマンとアル・パチーノという二人の天才俳優を演出したJerry Schatzberg監督は、ジーン・ハックマンを相当に抑えて描くことで、アル・パチーノという稀代の名優が持つ役幅を広くとって、見事な作品を撮り切りましたが、なにか三池監督のこの作品には、映画「スケアクロウ」を思わせるような、キャスティングの妙味というものがありました。三池監督としてはKoji Kikkawaさんにも、もっとネジの外れたような演技をさせたい場面も多々あったと思うけれど、そこを抑えて、彼の精神の自由さを、フィリピン人の手押し車に、スーツを着せたまま載せる程度の場面の奇抜さだけで描ききったのは、さすがのひとことです。なにも説明せず、ただスーツを着て車に乗っているショットだけで、様々な感情が画面に渦巻いており、三池監督のそうとう繊細な感性に裏打ちされた、スケールの大きい名ショットになっています。
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