スティーブン・スピルバーグ監督 ジョーズ

1975

今日はSteven Spielberg監督のJawsを再見しました。今回は、2回目の鑑賞です。
狭い町で小さな利得を求める小役人どもに対して怒りをぶつける主人公たちが、不安と焦燥のなかで徐々に鮫と向かい合ってゆく様が、堂々とした演出でゆったりと描かれる名品だと思います。海中の鮫の特殊撮影が、じつに雰囲気があってよかったです。
名匠John Williamsの恐怖を煽る音楽が素晴らしく、抑えの効いたメロディー・ラインは単調で禍々しくも何処か懐かしい響きで、ハーモニーを熟知した人が単純なものを作っているんだなという安心感があり、聴き心地がとてもよかったです。
男たちは海上で、しばしば陽気さを装って、郷愁を誘う歌を謳いながら、時として個人個人の特殊な出自からくる生きにくさを、次第に狭い空間で共有してゆく、世界の最果てへ逸脱しながらも、その僻地に新しい家を見つけ出すというテーマは、スピルバーグの”Jurassic Park “(ジュラシック・パークや”War of the Worlds””(宇宙戦争)”のような作品に、共通するものでもあると思います。
スピルバーグ監督にとって家という概念は、血縁だけを意味するものに留まっていません。彼にとって家とは、ともに問題を共有し、一つの狭い場所でともに生きてゆこうと決意する運命共同体なのだと思います。本作は、生死を訣つ死線をくぐらざるを得なかった人々の絆の強さを、極限状態のなかで、ときには場に不釣り合いな冗談を云い、笑い飛ばしながら、確かに視線を交わして、何か響き合うものを確認してゆくその一瞬の温かさを、ケレン味のないまっすぐなカメラで捉えるスピルバーグ監督の、古風で悠々とした演出の妙味を、心行くまで堪能できる逸品でした。
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