一次試験 合格(2022年10月)
2022年10月に英検1級一次合格しました。17年くらい前から、英語はずっと好きだったのですが、学校を卒業したあとは、ずっと勉強は1人でしていて誰にも教わりませんでした。
フィッツジェラルドの小説『グレート・ギャツビー』は読みすぎて本が3つに割れるまで、100回以上、読みました。大好きなウディ・アレンの映画『アニー・ホール』の冒頭の2分くらいの独白は何回も見ているうちに暗記してしまいました。デ・パルマの映画『ファントム・オブ・パラダイス』は50回も見ました。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのCDはThe Giftという8分間の曲を完全に暗記してしまいました。大好きなビートルズやビーチ・ボーイズも、特に気に入った曲は、楽譜なしでギターで弾けるようになりました。
一時期は英字新聞を毎朝、読んでいました。(最近は読んでいません)英語のポッドキャストのネットニュースは今でもまいにち、聴いています。ここ2年ほど、私は趣味で資産の95%くらい投資していることもあり、海外のニュースも知りたいので、趣味と実益が半々といったところです。
このような趣味の時間が15年くらいあって、最後に、試験前の3ヶ月ほどは、会社の近くのカフェに夜な夜な1,2時間ほど籠もって英検1級の単語集の問題をネットで解いて、間違えた単語を英英辞書で調べてノートに書き写していました。
秋に英検1級、申し込みました。TOEICのスコアは865点なのでかなり厳しいですが、頑張ります。字が汚すぎて、じぶんで書いたrとvの区別がつかないところがあり、勉強苦戦中。。 pic.twitter.com/fLASGDqUDj
— つぶあん (@coyviadukt) September 6, 2022
私は筆記体がまったく書けない(読めない)ので、かなり時間がかかります。ノートに書いた単語の数は、ぜんぶで3500単語ほどの正答率が80%前後だったので、700くらいだったと思います。
どのくらいの時間かけたのか自分でもわかりません。けっこう勉強していたような気もしますが一方、ネイティブのアメリカ人とイギリス人と話した時間は人生トータルで30分くらいしかありませんでした。(イギリス旅行に若い頃、一度だけ行ったことがあります)
学校を卒業したのちは、お金を払って塾に行ったり、英語の先生について教えて貰ったことも1回もありません。
一次試験以前は、英検1級対策のテキストなども、ブックオフで何冊か買ったが、結局ネットの単語集だけを解いて、買った本は、1冊も開きませんでした。
こんな状況で、本当に受かるか不安でしたが、どうにか一次試験には合格することができました。
英検一級、初受験でしたが、一次試験に合格しました😸#英検一級 pic.twitter.com/GdBrAt7e2H
— つぶあん (@coyviadukt) October 24, 2022
二次試験 不合格(2022年11月)
さすがに二次試験の前は何か対策しようと思い、ブックオフで面接対策本(リスニングCDと、ネットの音声ダウンロード権利付き)を700円で購入し、ずっとカバンに入れてパラパラ眺めたり、スマホにダウンロードしてネットの音源を聴いたりしていましたが、11月に二次を受験し、不合格でした。
かなり落ち込んでいる当時のブログ記事↓
自己紹介では、自分の勤めている会社の仕事の内容を話しました。趣味を訊かれたのでギターと答えました。そこから会話の発展は特にありませんでした。
11月の面接で選んだテーマは「世界の海は壊滅的な状況になっているか否か」というものでした。
私は「壊滅的である」という立場で述べようとしたが、スピーチは何度も言葉に詰まりました。
温暖化やサンゴの生育環境について説明したがサンゴという単語が出てこず、「生き物」という曖昧な単語を駆使した私のスピーチは、途中で終わってしまい、時間を余らせる。。。
「もう終わりですか?」「はい」
質問「壊滅的というのは、あなたにとってどういう意味か。」
答え「ある閾値を超えてしまい、もう戻れないという状況のことが、私にとって壊滅的という語の意味だと思います」
質問「しかし、海の中にはたくさんの生き物がいる。」
答え「一部のエリアはもう壊滅的です」
質問「しかし、環境をよくする努力もなされている。海は広い」
私(心の声)「海は広いってなんだよ、詩人かよ。海、広いなんて言われたら、反論できないだろ。これ、もう、パワハラだよ・・・訴えてやる・・・訴えて、受験料を取り戻さないと・・・」
答え「(しばし沈黙)しかし、発展途上国は自分たちが発展することに必死で、環境に配慮する余裕がない。ペンギンたちは。。。シロクマたちは。。。氷がなくて困っています」
まだ面接の途中でしたが、この辺りで落ちたことを確信しました。
答えに窮してペンギンが・・・とかシロクマが・・・とか云いながら、ちょっと泣きそうになる時間は、かなりつらい体験でした。
1週間くらいトラウマで英語が嫌いになりました。
壊滅的になったのは、海ではなく、私の心です。
しばらく迷ったが、一次試験に合格できたのもマグレかもしれないし、一次試験を免除する権利は行使しようと気を取り直し、3月の面接に申し込みました。
私は当時、中国の最難関試験である科挙を70すぎまで受験していた聊斎志異の蒲松齢のように、生涯受験を覚悟していましたが、翌2023年の3月に合格することができました。
2023年3月 二次試験合格
今回、前回の時にブックオフで700円で買った本を引き続きめくる他に、chat GPTを使って模範的解答例を50パターン以上作成し、ずっとカバンに入れて眺めてみました。
もちろんAIの文章を読んだからといって、急に英語が流暢になるわけでもないけど、「言いまわし」とか「論理の組み立て方」に例文をとおして馴染んでおくことで、その場で考えやすくなるという狙いで、一種の潤滑油にする狙いです。
自己紹介では好きな本を訊かれ、「フィッツジェラルドのグレート・ギャツビーが愛読書です」と言いました。10回も読みました。と言ったら、「とてもよい時代の、よい英語の本ですね」と仰っていました。
(本当は100回以上、読んでいるし、本は三つに割れたのをセロテープで留めてあるし、冒頭2ページは暗記していたのですが、あまり性急に話すと、100年前の本ばっかり読んでいる気持ち悪いオタクが、やってきたと思われるのも嫌なので、私は自重しました)
前回の自己紹介と違い、たったひとことですが「会話」になって良かったです。
与えられた紙に印刷された何題かの出題の中から、私が選んだスピーチテーマは「未成年者の犯罪は厳罰化すべきか否か」
私は厳罰化すべきでないという立場です。
理由として、
- 未成年者は自らの生育環境を選べないこと
- 未成年者の脳は未成熟であり、更生の余地があること
の二点を述べました。
質問では、「何歳から未成年とすべきか」と問われました。
私の回答「何歳で区切るべきかについては様々な研究があるがとても難しい問題だ。私は20歳で区切るべきだと思う。
20歳以下の人間を裁いてもよいと思うが、
少なくとも、20歳以下の人間に対しては、終身刑や死刑などの重い刑罰を与えるべきではない」
面接官「そうは言っても様々な酷い事件がある。重大な犯罪をした若者を裁かない前例についてどう考えるか」
私「未成年は、彼らの育つ環境を選ぶことができない。彼らは、貧乏な親に生まれることを拒否することができない。彼らが成長するために必要な愛情を、彼らに対して注ぐことができる周囲の人間を選べない。彼らは、経済的にも、愛情の上でも、不足した人生を歩んできたかもしれない。十分な教育を受けなかったかもしれない。周りに悪いことをする友達ばかりがいたかもしれない。そうだとしても、そのことを、彼らは選べなかった。彼らは酷い犯罪の加害者であるが、同時にまた、彼らは・・・」
ここで口澱む私。「彼らは、この社会の瑕疵の被害者でもあるのです」と云いたかったのですが、被害者”victim”という単語が出てきませんでした。なので「彼らは犯罪者であると同時に、彼らの周囲の環境の中で、限定された日々を過ごさざるを得ない」みたいなことを言いましたが、そう言い換えるまでの間に、5秒ほど沈黙してしまいました。
このあと、何か訊かれかけた辺りで、時間になりました。
Have a nice day と云って部屋を出る私。
面接室を出て、エスカレーターに乗った私は、スマホで出てこなかった単語を検索した・・・
google検索 「被害者 英語」。。。
victim
私、うなだれる。
中学生でも知っている単語が緊張のあまりすっぽりと抜けてしまったのですね。
英検1級合格者でvictimって単語を知らない人はいますか。いません。ハイ、終了です。お疲れ様でした。
というわけで、二回目の面接の感想は、「また試験はダメだった、また、落ちたけれど、前回よりも、遥かにマシだった。」という感じでした。
私は、「今回は、またダメだったけれど、もう1回、受けてみよう。次は、きっと受かるだろう」と思っていました。
結果は、合格でした。
英検1級に受かったからといって「急に英語ができる」ようになるわけではありません。むしろ私の中では、英検1級に受かった現在、若い頃よりも、英語の難しさ、果てのなさ、終わりのなさ、理解のできなさを、よく理解しているために、「自分が英語が全くできないこと」を寧ろ痛感しています。今回の結果は達成ではなく、余生において、私がますます大好きな英語を、誰のためでもなく、自分のために、マイペースで学んでいくための、ひとつの、きっかけでしかありません。
私に英語の魅力を教えてくれた芸術家の皆さんに感謝したいです。とりわけ、F・スコット・フィッツジェラルドと、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのフロントマンのルー・リードと、ウディ・アレンという、3人の、大好きな「私の英語の先生」に感謝しています。
英検1級合格しました。面接前、頭に浮かんだ詩 Then wear the gold hat,if that will move her;If you can bounce high,bounce for her too,Till she cry “Lover, gold-hatted, high-bouncing lover,I must have you!”自己紹介で本が好きと云ったら愛読書を訊かれ、グレート・ギャツビーと答えました。
— つぶあん (@coyviadukt) March 15, 2023
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