水木しげるさん『猫楠』

1992

水木しげるさんが南方熊楠さんに就いて描いた『猫楠』を拝読しました。水木さん一流の生死の境を融通無碍に行き交う世界観が、南方熊楠さんの遠大なpersonalityと響き合っており、面白かったです。猫が一匹ではなくて、化け猫なんかも出てきて、猫のストーリーがしっかりと語られるところが、水木さんらしい、この世とあの世の「あわれなもの」をborderlessに捉える心境の反映となっており、感慨深かったです。魔女まで出てくる贅沢さは、ヨーロッパから極東の島々まで萬の神々と自在に対話し、交友を楽しんだ南方さんの伝記にふさわしい、この上ない舞台設定かなと思いました。

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