The Wicker Man(2006)

2006

Neil LaBute監督が2006年に撮った”ウィッカーマン”という映画を観ました。本作は1973年の同名作のリメイクだそうです。リメイクということも知らずに観た私ですが、1973年版はカルト的な人気があるそうなので、ぜひいつか拝見したいです。主演はNicolas Cageで、他人の理不尽さに感情を露わにしながらも、逆境にめげず理想を追求する、まっすぐな性格で、表裏のない爽やかさが、親しみの持てる好演でした。彼とかつて恋仲にありながら、謎の失踪を遂げて今回、事件のきっかけとなる手紙を寄越すミステリアスな女性を演じたのは、Kate Beahanで、オーストラリア人の彼女の今日までのキャリアにおいては、本作がアメリカ映画で演じた役柄の中で最も有名になったものとなりました。
映画はどこか密室的な匂いのある孤島を舞台に展開され、始終、視聴者にとっても主人公にとっても周囲が謎めいた空気感が魅力的な作品でした。まず酒場に辿り着き、奇妙な村人との会話の中で、主人公の部外者としての立場が明瞭になるところは、どこかフランツ・カフカ的な気配がありました。結局のところ筆者である私は、現代社会において、不可解な他人との中で、はっきりとした立場や、明瞭な論理的思考の道筋を捉えることができないでいるので、自分の苛立ちや所在のなさ、孤独感を、ニコラス・ケイジに重ねて観ることができました。
観終えてみると、非常に後味の悪い作品ではありますが、村人一人一人の奇妙な人当たりの味わい深い演技や、スーツを汚しながら縦横無尽に走り回るニコラス・ケイジのパワフルで抑えの効いた演技がとても魅力的で、しっかりとした味わいを残す作品でした。筋書きを知ってから再見するのも面白そうだし、また、1973年のヴァージョンはぜひ何処かのタイミングで手に取ってみたいなと思っています。

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