煙草のけむを吹かす夜道
自販機の裏にひとり佇み
終電の灯りを眺む月影
微かに囁く優しい街の音
ゆきかう人の影は長く
ざわめきもまた夢のよう
微風に溶ける古い手帖の1頁
昏い心を抱えて風に迷う歩幅
こんなに寂しい気持ちになるなんて思ってもいなかった
君と笑い合えたあの日が二度と戻っては来ないなんて
春の雨が全ての誓いを
足早に洗い流し
葉桜に萌える夏の予感は醒め
私の心には雪が降り頻る
ルージュの窓にぼうっと浮かぶ
幸せの欠片なんて
少し手を伸ばせば手に入りそうなのに
鏡の中で微笑んでいる他人
こうして年老いてゆく心を抱え季節は過ぎゆく
古い恋歌に耳を傾け終わった時ばかり夢む
もう何も考えずに悲しみだけを友達にしながら
宛てもなく虚無から虚無へ羽ばたいて私は何処までも墜ちゆく
こんなに寂しい気持ちになるなんて思ってもいなかった
君と笑い合えたあの日が二度と戻っては来ないなんて
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