sketch

ギターや楽譜

絵具を刷くような雨に肩を少し濡らして
君を待つ改札に踊る雨傘の色
後ろから肩に触れ「ごめん」と云った君
振り向いた瞬間に黙ってしまう私

本当はずっと前から
楽しみにしていた
この日のために新しい
スカートを買ったのに
どうして君の隣にいる私は
こんな静かなのだろう

映画館への銀杏並木の陰を歩く
何を話せば良いのか少しも判らない
すれ違う恋人が囁く愛の言葉
乾いた唇に微かに過ぎる予感

どうしてこんな私と
会ったのかしら
何もないのに遊んだり
いつもなのかな
悲しみの花言葉に澄むルージュの吐息
君を遠く感じる

「楽しかったね?」なんて笑って
何がしたいの
醒めてゆくコーヒー・カップと
私の心
本当は君のことを好きなのに
私じゃダメなのかな

コメント

Copied title and URL