絵具を刷くような雨に肩を少し濡らして
君を待つ改札に踊る雨傘の色
後ろから肩に触れ「ごめん」と云った君
振り向いた瞬間に黙ってしまう私
本当はずっと前から
楽しみにしていた
この日のために新しい
スカートを買ったのに
どうして君の隣にいる私は
こんな静かなのだろう
映画館への銀杏並木の陰を歩く
何を話せば良いのか少しも判らない
すれ違う恋人が囁く愛の言葉
乾いた唇に微かに過ぎる予感
どうしてこんな私と
会ったのかしら
何もないのに遊んだり
いつもなのかな
悲しみの花言葉に澄むルージュの吐息
君を遠く感じる
「楽しかったね?」なんて笑って
何がしたいの
醒めてゆくコーヒー・カップと
私の心
本当は君のことを好きなのに
私じゃダメなのかな
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