オススメ動画(4)6IX9INE – PUNANI

2020


今回は2020年のヒップホップの名曲を紹介します。Takashi 6ix9ineの、「6ix9ine」という、NHK紅白歌合戦への出演はちょっと難しそうな名前には、「あなたと私とは、別々の立場で生きているけれど、見方を変えれば同じである」というメッセージが籠められているそうです。
6ix9ineの曲のスタイルは、挑発的な言葉に、耳に聞いた時、微かに不安を誘うような、シンセサイザーが重ねられている曲が多いです。
短く刻むベースやドラムに重ねられるシンセサイザーの音が、何かから逃げるような、生き急ぐような焦燥感を表しているように感じます。
その楽曲が持つ微かな不安感と、その不安を覆い尽くすような、生き急ぐ焦燥感が、彼の音楽にある種の中毒性を齎しており、その挑発的なルックスや発言、生き方も相まって、彼を嫌いな人は大勢いるのだろうけれど、中には私のように、彼の音楽を聴き続けることしかできない人々が、一定数います。
自分が刑務所から早く出るために、仲間を裏切ったりした(私は、そんな噂話をネットで読んだだけで、真相は知りませんが)こともあって、逆風がとても多いアーティストで、来年どうなっているのか、まったくわからない人みたいなところがあるけれど、これらも、マイペースで良いので、新曲を出し続けてほしいなと思っています。
2020年の8月にリリースされた、私が大好きな「Punani」という曲の中に、彼の曲をただ聴いたことがあるだけだった私が、その一行をきっかけに彼の大ファンになった、非常に印象的な一節があります。
“tell em don’t act dumb because im dumber”
若い頃、Henry Millerの小説の中に、
“The world is a cancer eating itself away”という衝撃的な一節があって、
非常に強く印象に残っているのですが、
私は、この”tell em don’t act dumb because im dumber”というリリックを初めて聴いた時、その小説を読んだ時のような恐ろしさを感じ、背中が寒くなりました。
Henry Millerや6ix9ineのような人は、世界中のすべての存在を敵に回しても、「言葉」という武器一つで互角に闘えるような、そんな存在なのかもしれません。
彼がどういう人で、なぜ嫌われることが多いのか、私にはよくわかりませんが、この素晴らしい一行のリリックを聴いたとき、私は非常に強い衝撃を受け、一瞬で彼のファンになりました。
今、2年以上経って聞き返してみて、やはり、彼のような天才的で独創的なアーティストは他にはいないのではないか、という気がします。
スーパー・カーのボンネットに飛び乗って、マクドナルドのコーヒーを飲む。なかなかシュールなヴィデオも、意味がよくわからないですが、何がしたいのかさっぱりわからないところが却って面白くて、私はけっこう好きです。
皆さんも機会があればぜひ聴いてみてください。

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