そよ風が頬を撫でる頃に歩き廻り
人の影を生きる煩わしさ
立ち上がることも眠ることもできず
蹲っている日々
堆く積もってゆく不安ひとつひとつに名前をつけても
きっとすぐに忘れてしまうだろう
初めから叶わないとわかっている
寂しい夢を観るのにも厭きた
いち早く逃げる足先
少しずつ擦り減ってゆく
正しい言葉を返すきっかけ
孤独に紛れた虚ろな瞳
色のない雨傘
街燈りに吸い込まれてゆく
溜息
寂しさを返す折鶴
天道虫の紅い星
ポケットの中の枯葉を握り締め
煤けたフロックコートを羽織った肩に
しんしんと降る雨の音も
いつの間にか青く澄み渡る
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