シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇 89

2021

エヴァは小生の青春みたいなもので、終わって寂しいという気持ちが強い。新劇場版の完結編に当たる本作は、2021年公開当時、映画館で見る機会がなかったので、折角だから旧作をぜんぶ見直してから見返そうと思っていて、その気分になれず放置していましたが、今回(旧作を見返すことを省略して)ようやく拝見しました。こんにちまで観ずにやり過ごしてきたことを後悔するのに充分な素晴らしい作品でした。
小生はゲーム作家の飯野賢治さんのファンで、飯野さんがエヴァQの公開当時、3回も映画館に見に行ったとツイートされていたのを、昨日のことのように覚えています。エヴァQは当時、賛否両論というところで小生は、エヴァQは無事に映画館に行くことができ、大好きな作品だったので、尊敬するクリエーターの飯野さんが小生の好きな作品を、褒めていてくれて、3回も見に行って嬉しいなと思っていた矢先、飯野さんが急逝されました。
本作が公開されたタイミングでも小生は飯野さんがもういないな、寂しいな、と思っていました。
エヴァは「私には語るものが何もない」という絶望から生まれた物語だと思います。一見すると自由に描かれているようですが、カラフルで天衣無縫、奔放な表現の裏にはじつは、何も語れないという苦悶が満ち充ちています。すでに何も語れない、語るものが何もないという苦悶から始まっている、小生にとってリアルに感じられる物語です。
観るのが少し遅くなったけれど、この立派な完結編は紛れもない、小生のための物語でした。
飯野さんがこの映画を観た感想を聞きたかったです。(たぶん都内のどこかの映画館に降霊して小生より早く3回くらいご覧になっていることでしょう)
ケレン味と、サーヴィス精神旺盛な色気に充ちた作画、少し背徳感さえ憶える。
声優陣みなさん素晴らしい、特に三石琴乃さん、林原めぐみさん。セーラームーンやコナンとのギャップも含めて、脊髄ゾクゾク、ずっと聴いていたい魅力的な声。
素晴らしい作品でした。

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