今回、紹介するバンドThe Doorsのキーボーディストのレイ・マンザレグは、ジャズの影響をつよく受けており、とりわけBill EvansとMiles Davisの競演盤であるKind of Blueに若い頃に出会ったことで「人生が変わった」と発言しています。
The Doorsにはベーシストがいませんので、座りの悪い、曖昧な印象のあるサウンドになっていますが、そんななかでレイ・マンザレグの寂しくて詩的な七色のキーボードが、The Doorsの音楽を非常に個性的で忘れがたいものにしています。これには前述したとおりジャズの影響が強く、パンチの効いた激しい音ではなく、陰影とニュアンスで語るジャズの手法を、ロックの曲のなかにダイナミックに持ち込んだことで、衝撃的な音世界に仕上がっています。
ジム・モリソンの寂しく、孤独感と絶望感のあるヴォーカルが、そのキーボードの世界のなかで、自由に飛び回る様は、ほんとうにクセになります。
The Doorsというバンド名がまた素晴らしく、このバンド名を観ただけで、未知の世界に対する憧憬と恐怖のまじった、子供の頃の色味の強い心象を強く想起させられます。
The Doorsの音楽を聴いていると、子供の頃の寂しい気持ちを、小生は思い出します。レイ・マンザレグのニュアンスの美しいキーボードが、様々な心象風景を呼び覚まします。ジム・モリソンの声をとおして小生は、そうやって悶え苦しんだ自身の危険な半生を、再び生きようとしているのかもしれません。
皆さんも機会がありましたら、是非聴いてみてください。
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