ミステリアスで何処かジェンダーレスな画風と、幻想的なのに地に足がついているところのギャップ、全編に漂うそこはかとない孤独感が魅力的な作品でした。ずっと一人で思考しがちな性格であるために、時として哲学的で深い方向へ転がってゆく主人公の思想は、生きることの虚しさや、生命ぜんたい、宇宙ぜんたいのダイナミックな関わりのなかで人間一人の生活、またその一日というものがどれほど小さく、儚く、移ろいやすいものであるかを、鋭敏な感性で捉えてゆきます。そうしてそのように散らばった思考を纏める食べ物、ひとつひとつに対する真摯で敬虔な気持ちが、とても心地よかったです。
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