海辺の紅

ギターや楽譜

出発を告ぐ霧船の音
寂しい窓の外の夕闇に落ちる紅
煤だらけのコートを羽織り
枯草踏みしめ歩く砂浜へ空を舞うカラス

嗚呼どうせダメならダメで
せめてあの日我慢すれば
こんな苦しいなら
辛いならどうせ同じことなのに

海辺の道を歩くと擦れ違う恋人たち
そっと微笑んで夜風を織る二人の指先
思い出したくない私の心に
甘い響きを探したあの季節

街灯が映す夢は
古い手帖の1ページ
流した涙の意味を
訪ねてまた宛てもなく彷徨う

古びた時計の針が
遅すぎた約束を告げる
いかれた楽隊が
奏でる甘いメロディー、響く

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